カスタマーサクセス組織の設計アプローチ

   by  弘子ラザヴィ

 

師走を迎えた今、来年に向けて事業計画や組織を新たに計画し直している方も多いと思います。

 

実は、カスタマーサクセスに取り組み始めたばかりの企業と、カスタマーセントリックな企業文化のレベルまでカスタマーサクセスが浸透している企業とでは、組織設計アプローチが全く異なります。

 

前者は乱暴にいうと従来のやり方、即ち 事業×機能の視点でまずハコを決め、責任者の顔を浮かべながらロール&リスポンシビリテイを決めるいうお馴染みの流れです。カスタマーサクセスは大抵「機能」としてハコをもちますが、営業やマーケティングといった長い歴史をもつ機能に比べ新参者のカスタマーサクセスは、彼らの “領域を侵さない範囲” でロール&リスポンシビリティが与えられます。

  

後者では「カスタマーが成功するためにすべきこと」という視点で必要なハコが検討されます。極端な場合、お馴染みの営業やマーケティングというハコが消えることさえあります。本質的に重要なのは、従来なかった非常に重要な機能が最優先で用意される点です。例えば「カスタマーエデュケーション」や「オペレーション(「カスタマーオペレーションとは?:ROIを飛躍させる顧客データの魔術師」を参照)」などです。

  

組織論は唯一絶対の正解がない世界なので、デジタル時代も大いに議論され続けると思います。しかし設計アプローチに関しては、上述の通りアプローチをアップデイトする必要がありそうです。

 

即ち “買ってもらった後” に必要な機能を中心に組織を組み立てるというアプローチです結果として営業やマーケティングと呼ばれるハコに属していた人たちが、全く異なる名前の新しいハコで活躍する可能性も大いにあります。

 

以下に、このサイトでお馴染みのキアさんによる、組織設計アプローチに関する記事を紹介します。後半にある、カスタマーサクセスとして一般的に検討すべきサブ機能項目リストは、組織を設計中の方にとり参考になりそうです。

 

カスタマーサクセス組織/チームの設計に関するその他の記事(「カスタマーサクセス組織のいろいろなカタチ」および「少数精鋭なカスタマーサクセスチームを計画する方法」)もぜひ併せてご参照ください!

 

注:著者Kia Puhm氏の許可を頂き原文の和訳を紹介します



カスタマーサクセス組織の設計

 

カスタマーサクセスとは1人ひとりのマインドセットであると信じている私は、企業が組織を設計する際にはカスタマーセントリックなアプローチをとるべきだと考えます。すなわち、カスタマーがあなたのプロダクトを利用してどのような成功を得たいのかをまず最初によく理解する、それから、それに応じて組織の構造と役割を設計するというアプローチです。

 

現実は、ビジネスモデルから検討し始め、そこから逆算して組織を決める、というアプローチをとる企業があまりにも多いです。つまり組織図をまず最初に作成し、それぞれのハコの役割と責任を大枠で決め、最後に各業務手続きと経営指標を定義するという流れです。

 

このアプローチが問題なのは、最も大切なカスタマーの視点が、実際にその組織が動き出してみるまで考慮されない点です。結果として、カスタマーのニーズにリアクティブに対応せざるを得ない事態を招くことになります。カスタマーが望む成功を手にするために何が必要なのかを理解しない組織がいったいどう正しく運営されるでしょう?

 

カスタマーを理解する

カスタマーが成功するのに必要なことを深く理解できてはじめて、企業はカスタマーニーズに最も適した組織を設計できます。まずすべきは、とてもシンプルな3ステップです:

 

1.カスタマージャーニーマップを描く

カスタマーの事業環境を踏まえ、彼らがあなたのプロダクトを使って事業目標 に到達するまでの道すじを解明し、誰もが共有できるよう紙におとしましょう

 

2.手続き書(プレイブック)をまとめる

カスタマーが上述のジャーニーを前進するためにあなたができること・すべきこと(手続き)を、人に依らず正しく実施されるよう細部にわたり定義しましょう

 

3.指標を設計する

カスタマーがジャーニーをきちんと進捗できているかを測定・把握するための指標を定義しましょう

 

上述3ステップでカスタマーが成功するための要件を理解できたなら、いよいよカスタマージャーニーを支援するのに最適な組織構造を設計する番です。

 

世界最先端のカスタマーサクセス組織

 

いよいよカスタマーサクセスの組織を設計しようという時、必ず検討される主要機能は以下の通りです:

 

・リーダーシップ

チーフカスタマーオフィサー(CCO)やカスタマーサクセス担当ディレクターなど、経営中枢のポジションにある人の存在

 

・アカウントマネジメント

カスタマーとの関係(カスタマーの成功と自社の売上の両方)をマネジメントする機能

 

・特定領域の専門知識

プロダクト自体やその活用に関連する高度な専門知識(複雑系プロダクトの場合は特に重要)を有するエクスパート人材(兼業、専業)

 

・サービス

オンボーディング時の導入サービス、ないし(有料)プロフェッショナルサービスを提供する機能

 

・エデュケーション

プロダクトのアダプション促進、ないし更なる利用拡充に向けたプログラムを開発する機能

 

・サポート

プロダクトに関する質問への標準回答を提供、ないしカスタマーのプロダクト戦略・要件に応じたサポート機能(要は専任のサポート代行業務)を提供する機能

 

・プロダクトへの繫ぎ

アダプションやサポートの改善に繋がるカスタマーからのプロダクト改善要求を集約し、製品ロードマップに直接反映させる機能

 

・ソリューションエンジニアリング

プロダクトのアプリケーションについてより深くかつ実行視点で解説し、解決困難なテクニカル問題がサポートへ流れるのを抑制する、販売後の営業に相当する機能

 

・カスタマーエネーブルメント

カスタマーコミュニティ、イベント、NPS、アドボケイトプログラム、ナレッジベース(、同一部門の場合のエデュケーション)を開発・管理する機能

 

・カスタマーマーケティング / コミュニケーション

スケールできるテックタッチ・ロータッチの鍵となる、そしてアダプションないしエクスパンションの仕込みにも役立つコミュニケーション機能

 

・オペレーション

販売後の収益管理、およびプログラム開発をする機能、より具体的には:カスタマーサクセスの財務面の管理、ツールの管理、レポートの作成・報告、カスタマーの目標到達プロセスのモニタリングないしレビュー(ジャーニーの進捗管理)、カスタマーのアダプションスピードを向上させるための継続的改善

 

・データサイエンス / データ分析

データレビュー、カスタマーヘルススコア、ないしカスタマーの目標(ジャーニー)を測定する指標の設計、トレンド把握、手続き書の変更推奨、リスクアカウントの特定などをリードする機能

 

結論

 

最も効果的かつ持続可能でスケールできている組織は、何よりまずプロダクトで成功するためにカスタマーが何を必要としているのか理解しています。そのために必要なことは、カスタマージャーニーを描き、業務手順書をとり纏め、測定する指標を定義することです。

 

カスタマーのニーズを正しく理解できてこそ初めて、カスタマーサクセスとして最も効果的な組織を設計することができるのです。

 

(原文)

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