投資会社(PE)が注目するカスタマーサクセスのポイント

投資会社/PEはカスタマーサクセスを思い切り重視しているぜよ! という話です。

 

Gainsight社のCEO ニック・メタ氏が2017年8月に自分のLinkedInで公表した記事です。PEに招かれたイベントでの体験に基づく学びが12点ほど紹介されています。

 

Gainsight社の年次イベント Pulse 2017でも、投資会社やCFOの方々による議論が目につきました。組織のカスタマーサクセス推進力が事業評価額を大きく左右する今や、カスタマーサクセスは資金調達の世界で常識な論点です。

 

資金調達を考えている経営者の方、海外でアナリスト説明を予定している方、もちろん投資家の皆さんも、必読です!

 

注:Gainsight社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

PEの世界観における変化のトレンド12

 

M&A市場の動きを追っている人なら、PEがテクノロジー市場で活動を拡大しているのをご存知ですよね。

 

これまでのPEは、投資先のコストカッターで知られてきました。成長率が鈍い(=株価が低い)投資先を見つけ、無駄なオペレーションをチョキチョキ切り落としてキャッシュフローを改善するのです。

 

しかしデジタル時代の今、彼らはテクノロジーを利用してポートフォリオの企業価値を上げることに力点を変え始めました。

 

ハッキリ言います。PEはまるで成熟段階にある事業会社かのようにオペレーションに注目する全体アプローチをとり始めています:

投資先の成長を加速させ、業務品質を磨き上げ、業務効率を改善することに繋がる「あそび/余地」を追求し始めています。

 

カスタマーサクセスは事業の成長性と株価の上昇に大きな影響を与えることが明白なため、彼らがそこに注目するのは当然のことです。

 

Gainsightを利用してくれるカスタマーの中には現在、PEの出資を受けた企業が60社超います。さらにPEの何十社という投資先向けに、カスタマーサクセスの成功事例をプレゼンしてほしいという依頼も多数届いています。

 

先週、ある業界トップのPEが投資する企業のCFOらを相手に講演を依頼され実施してきました。
以下はそこでの学びです:

 

1.カスタマーサクセスはPEにとり固いバリュードライバーの1つ

カスタマーサクセスに関する講演依頼をしてくるPEの数の多さからして、投資家が「カスタマーサクセス」と「グロス/ネットリテンション率」と「株価」との関係性を理解しているのは明白です。

 

先の講演は2日間の日程でしたが、プレゼンを依頼されたテクノロジー企業は我々だけでした。私は他の講演も同席を許されましたが、リテンション率は常にとてつもなく熱い議論が交わされていました。

 

2.PEの出資を受けたスタートアップに「カスタマーサクセスとは何か・なぜ必要か」の説明は不要、逆に方法論が必要

通常の講演では、Gainsightの方法論は少なめにし、”カスタマーサクセスの動向” に時間を割いて話しをするのですが、この講演では主催者からシステムやテクノロジーの話をいきなり始め、かつそのテーマに終始してほしいと依頼されました。

 

参加してくださったCFOは皆さん、どのようなリソースが必要か、データ問題へどう対処すべきか、チェンジマネジメントをどう推進すればよいのか、といった具体的な実践系の話に熱心に聞き入ってくれました。

 

3. PEの出資を受けたスタートアップにとり既存システムの限界は足元の課題

私はそこで、カスタマーサクセスを推進する上での根本的な課題と、それがゆえにカスタマーサクセスプラットフォームを既存システムとは別にもつ必要性について説明しました。

 

課題4点は以下の通りです:

 

(1) カスタマーのモデル化は、あなたのプロダクトの使われ方の違い毎(部署別、事業別、プロダクト別、ステークホルダー別)に行う必要があります。単に営業や請求プロセスの違い別にモデル化しても意味がありません。

 

(2) より多様なデータ(テレメトリング、利用状況分析、解析、アンケート、サポート、CRM、請求など) を組み合わせ 、カスタマー体験を総合的に評価する必要があります。

 

(3) そのような多様なデータを解析することで、カスタマーのヘルススコアをあらゆる側面から測定・評価する必要があります。

 

(4) カスタマージャーニーの過程で、人手に加えデジタル手段も活用し、能動的・積極的にカスタマーへ働きかける必要があります。

 

ほぼすべての参加企業が、CRM、BI、エクセルシートやそれに似たものを組み合わせてなんとか対応しているようでしたが、早晩限界に至るのは明白です。

 

4. PEの出資を受けたスタートアップで独自の仕組みを開発したいと思う会社は1社もない

彼らは非常に合理的です。専門ベンダーのプロダクトがあるのに、わざわざ社内で独自ツールを開発しようなどとは1ミリも考えません。

 

実際、PEも投資先に対して既存ベンダーのシステムをベースにプロセス標準化を進めるよう助言します。

 

5. PEの出資を受けたスタートアップの多くは既に洗練された業務を運営している

同イベントの参加企業のうち7社がGainsightを利用し、うち数社は卓越したパワーユーザーでした。

 

うち1社は、Gainsightを利用してどれだけ価値を引き出したかについてプレゼンを披露し、私も知らなかったGainsightの活用事例を紹介してくれました。

 

6. PEの出資を受けたスタートアップ はPEのポートフォリオ会社の意見に耳を傾ける

CFO(又は他部門のリーダー)は他社のCFOの意見や経験知に耳を傾け参考にします。

 

新たなソフトウェアへの投資を検討する場合、彼らは既に導入実績のある他企業のCFOに必ず電話をかけます。もし期待通りの成果が出ていないという事実を知ったら、そのCFOはそのソフトウェアを絶対に購入しません。

 

7.価値を証明できないベンダーはポートフォリオ会社の中で決して存在を認めらない

あるベンダーが、もしPEの投資先1社でKPIに基づく価値を証明できなければ、そのPEは他の投資先を相手にそのベンダーへプレゼンを依頼したり、他の投資先へ提案する機会を与えてくれないでしょう。

 

逆に、カスタマーサクセスをスケールさせることにしっかり成果を出せれば、そのベンダーの事業機会はポートフォリオ会社全体へと大きく広がります。

 

8. PEの出資を受けるスタートアップが注目するのは「予測可能性」

プラットフォームを導入することで得られる利点(規模の経済、自動化、評価基準)を議論する際、多くの人が何度も繰り返し発した言葉は「予測可能性」でした。

 

彼らがオペレーショナル・エクセレンスに注目しているのは明らかです。

 

9.予算編成のタイミングは今だ!

暦年の会計年度を採用する企業は通常、9月に予算編成や組織改編、10月に契約更改に向けた活動を開始します。つまり営業活動は(新規カスタマー獲得であれ、既存カスタマーへのクロスセル・アップセルであれ)今すぐ始めなければなりません。

 

10.もたらされる価値はチェンジマネジメント(のコスト)より大きくなければならない

CFO(又は他部門の責任者)は、ITプロセスがどういうもので、ソリューション導入に必要なデータ量がどれくらいで、チェンジマネジメントがどれくらい大変かを熟知しています。

 

言うは易しですが、新たにソフトウェアを導入することで、チェンジマネジメントやデータ変換に要する労力を遥かに上回る価値が提供されなければなりません。

 

通常、IT部門の体力を考えると、年に1つないし2つの大きなプロジェクトをこなすのがやっとでしょう。従って提案するソリューションがカスタマーの優先順位事項の1位ないし2位にならなければ、小さなモジュールに分割して提案しましょう。

 

11.みんな、どこから取りかかるべきか知りたい

ここまでの内容を踏まえ誰もが知りたがったのは、カスタマーサクセスのプラットフォームを上手く活用するにはどう「這い/歩み/走る」べきかという点でした。

 

私の答えは「カスタマーサクセスを最終的には全社的に採用することを想定しつつ最初は小さくシンプルにスタートするべし」です。

 

そうするためのGainsight社のソリューションラインナップを紹介しました。

 

12.カスタマーサクセスを議論しないPEは時代に取り残される

前述の通り、主要なPEは投資先へカスタマーサクセスのトレーニングを実施するにあたり、我々へ手助けを求めてきます。このテーマが議論の主流になっているのを目にするのは、私にとっても大変励みです。

 

(原文)

 

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