少数精鋭なカスタマーサクセスチームを計画する方法

  by  弘子ラザヴィ

 

少数精鋭なカスタマーサクセスチームを計画する方法

 

日本では、クラウドの申し子的なスタートアップを中心に盛り上がっているカスタマーサクセスですが、最近は伝統的な日本企業さんからも相談が寄せられるようになりました。素晴らしいことで、とても嬉しく思っています。

 

彼らはスタートアップと少し異なる課題を抱えています。即ち、既存事業で既に確固たるブランドを築いている上で、来る時代に主流な新たな事業モデルも同時推進すべく、既に築いたブランド価値を毀損しないカスタマーサクセス組織を模索されています。

 

そんな彼らの最大の関心は「少数精鋭なカスタマーサクセスチームを立ち上げたい」です。

 

全社の事業規模は既にかなり大きい一方、クラウド事業の比率は未だ小さく、なるべく少数精鋭なチームをつくり早期に成功インパクトを出し、社内に効果/ROIをアピールしながらチームを大きくしたいという事情です。背景には、過去の成功体験に根差した「新規獲得第一主義」の文化が根強い社内にカスタマーサクセスの意義を啓発して予算確保しなければならないという難しさがあります。

 

という事情は、実は米国でも大なり小なり存在します。カスタマーサクセスパフォーマンス指標のグローバル調査を協働している弊社のパートナーであり、かつ同課題を抱えるクライアントへアドバイスしてきた経験豊富なクリステンさんが、サクセスチームの人数計画をする際のヒントについて書かれた記事をご紹介します!

 

注:The Success League社の許可を頂き原文の和訳を紹介します。


 

スケーラブルな構造のサクセスチームを計画する方法

 

クライアント企業さんからよく「うちのブランド価値を毀損しない優れたカスタマー体験を提供しつつ、予算や事業モデルの観点からスケールを効かせたカスタマーサクセスチームを編成したいのだけど、よい方法ありませんか?」と尋ねられます。カスタマーサクセスチームは基本的に「ここまでしたい」という理想を達成するには圧倒的に人数が不足している、または会社からのコスト削減・人員削減のプレッシャーも強いようです。

 

こういう状況で会社の経営層とデータに基づきスマートに議論を進めるには、カスタマーサクセスを計画する際に「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」を同時にすることをお勧めします。特にカスタマー基盤をセグメント分類している場合はセグメント別に個別評価してみてください。

 

記事の最後ではチーム計画時に考慮すべきその他の事項も付記します。

 

トップダウンアプローチで考えてみる

 

「カスタマーサクセスマネジャー1人あたり収益額」などのベンチマーク数値が実は世の中に割と沢山あるにもかかわらず、残念ながら大半が見過ごされています。CEOやCFOは一般的にこういう数字が大好きで、カスタマーサクセス予算を立てる時はこういう数字を見ながら考えます。

 

ここで詳細な数字は紹介はしませんが、注意すべきは「カスタマーサクセスマネジャー1人当たりカスタマー件数」といった数字を参照する際は、背後のビジネスの価格単価水準、ブランド力、セグメント特性など、単に予算額だけでない多様な要素を考慮することがとても大切です。

 

もしあなたが「カスタマーサクセスマネジャー1人あたり収益額」のベンチマーク数値に基づきあなたの会社のカスタマーサクセスチームを計画せよ、とのお題を与えらた場合、まずはベンチマークの数字を確認し、そこから必要なマネジャー数を計算してみてください。

 

さて、その数字はピンとくるものですか?理にかなっていますか? その人数でカスタマーに価値を提供できますか? セグメント毎に数字は大きく違いますか? …. こういった質問を自問してみてください。

 

ボトムアップアプローチと合わせ技でバランスを考える

 

もし御社のカスタマーサクセスチームがいい感じに編成されていれば、これは簡単なエクササイズにすぎません。

 

・御社のカスタマーサクセス計画に基づくと、カスタマー1社の所要時間は1ヵ月当り何時間でしょう
・御社のカスタマーサクセスマネジャー1人の月間稼働時間を上記の数字で割ってみてください
・結果、カスタマーサクセスマネジャー1人が何社担当できるか分かります
・その数字を、トップダウンアプローチで求めた数字と比較してください

 

ボトムアップとトップダウンの数字が一致しましたか? もし、そこそこ同じだったら素晴らしいです! その数字を使って御社のファイナンスチームを巻き込みながら直ぐに予算をたてることができます。

 

ボトムアップの数字よりトップダウンの数字の方がずっと大きかったですか? であれば、現実的に必要な人数について、ファイナンスチームおよび経営チームと真剣に話し合う必要がありそうです。「カスタマーサクセスマネジャー1人あたり収益額」を既存のカスタマーサクセス計画に適する水準へ切り下げるか、もしくは予算遵守のためにカスタマーサクセス計画を大幅にスケールさせるものに見直す必要があります。

 

こういった分析を行いながら計画をつくることで、御社におけるトレードオフを議論する準備が整います。

 

ほかに忘れてはいけないこと

 

カスタマーサクセスチームの計画をたてる際、忘れてはいけない大切なことが他にあります。

 

まずはセグメンテーションです。通常、ハイタッチからテックタッチまで様々なモデルを用意します。上述の分析を行う前に、そもそもカスタマーサクセスマネジャーの時間を使い分けたいカスタマーグループを設定し、カスタマー個社単位で分類しておきましょう。

 

もう1つはオートメーション(自動化)です。自動化ツールを使ってない場合、カスタマーサクセスマネジャー1人当たりカスタマー数はかなり低めにならざるをえません。自動化ツールを取り入れることで同マネジャーがカスタマー1社に対し使う時間を短縮し、その比率を大幅にひき上げられます。自動化ツールへの予算が必要ですが、スケーラブルなチームを構築するには必要不可欠です。

 

次はカスタマーサクセスオペレーション業務担当者ないしオペレーションチームです。カスタマーサクセスチームが大きくなり自動化ツールもどんどん活用するようになると彼らが必須になります。オペレーション機能は、テックタッチプログラムの実行、各種ツール/ソリューションの管理、チームを支援する各種分析業務を担います。営業のオペレーションチームが営業担当者にとり大変役に立つ存在なのと同様、カスタマーサクセスのオペレーションチームはカスタマーサクセスの活動領域を広げる上で非常に重要です。

 

カスタマーマーケティングも今や無視できない重要機能になりました。新規契約後の売上が収益全体の75〜90%を占める現代において、カスタマーマーケティングがまだまだ新しい役割なのは本当に驚くべきことです。Eメールキャンペーンやその他数多くの「1対多」コミュニケーションは、テックタッチなカスタマーサクセスの基礎を担うと共に、既存カスタマーからの収益拡大機会も広げる重要な要素です。

 

最後に、カスタマーサクセス組織のスケール化をリードする責任者の存在を忘れてはいけません。あなたが部門統括や役員などの上級職に昇格したなら、カスタマーサクセスチームのメンバー人事管理を任せる直属部下が必要ですが、彼/彼女を採用ないし昇進させる際に肝に銘じるべきことがあります。それは、経験豊富なリーダーであれば通常8~12名まで直属部下をもてますが、新任リーダーだと直属部下は6人以下に抑えるべきということです。人数計画を立てる時はそれを頭に入れ、必要に応じリーダーの人数を増やしてください。

 

(原文)

 

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